保険と自費

◎体の治る力を助ける穏やかな15分ほどの施術で、重心の偏り・体の巡り・関節の可動域などが改善し、体が息を吹き返していきます。

整体業での費用について 保険と自費

目次

はじめに

体の不調を改善したいと考えたとき、多くの方が直面するのが「どこで施術を受けるか」という選択です。
整体院、接骨院、整形外科のリハビリなど、様々な選択肢がある中で、費用面での違いは重要な判断材料となります。基本的に整体院では保険が使えませんが、なぜそのような仕組みになっているのでしょうか。

本稿では、整体業界における保険診療と自費診療の違いについて、法的背景から実際の施術内容まで、幅広く解説していきます。

保険診療と自費診療の基本的な違い

保険診療とは

保険診療とは健康保険に加入している全ての患者が、どの医療機関であっても同じ内容の診療を、同じ金額で受けることができる仕組みのことです。
医療行為として行われる技術やサービスと医薬品などを合わせた額が医療費であり、患者の負担額はその医療費の一部となるように設定されています。

保険診療が適用される施術は、国が定めた明確な基準があります。
保険診療の適応になるものは、原因のはっきりしている「ケガ」のみです。具体的には以下の条件を満たす必要があります:

  • ケガをした日が明確なもの
  • ケガをした場所(どこで)が明確なもの
  • 急性期の症状であること

自費診療とは

自費診療とは、公的な医療保険制度を用いない診療のことを言います。
治療にかかる費用はすべて患者負担(10割負担)となります。整体院で行われる施術の多くは、この自費診療に分類されます。

自費診療には以下のような特徴があります:

  1. 施術内容の自由度が高い
    • 保険診療のような制限がないため、患者様一人ひとりに合わせた施術が可能
    • 施術時間も自由に設定できる
  2. 予防的なアプローチが可能
    • 症状が出る前のメンテナンスにも対応
    • 体質改善や姿勢改善など、根本的な改善を目指せる
  3. 料金設定の自由
    • 各施術所が独自に料金を設定
    • 技術や経験、立地などにより価格差が生じる

整体師と国家資格の関係

整体師の資格について

「整体」には、整体院はもちろんカイロプラクティックや揉みほぐし(リラクゼーション)、さらにストレッチ専門店も含まれます。
そして、法律的に整体師は民間の資格者という位置づけとなっています。

つまり、「整体師」という国家資格は存在せず、民間の資格や独自の技術研修を経て開業している方が多いのが現状です。
このため、整体施術に保険適用は認められていません。もし整体施術に健康保険が使われた場合、違法になってしまいます。

国家資格を持つ施術者

医療系の国家資格には以下のようなものがあります:

  1. 柔道整復師
    • 接骨院・整骨院を開業できる
    • 一定の条件下で保険適用可能
  2. あん摩マッサージ指圧師
    • マッサージの専門家
    • 医師の同意書があれば保険適用可能な場合も
  3. はり師・きゅう師
    • 鍼灸治療の専門家
    • 医師の同意書があれば保険適用可能な場合も
  4. 理学療法士
    • 主に病院でリハビリテーションを行う
    • 医師の指示の下で施術を行う

接骨院・整骨院での保険適用について

保険適用の条件

接骨院・整骨院にて保険を使えるのは、「骨折・脱臼・捻挫・挫傷・打撲」といった怪我や急な痛みの処置に対してのみです。
これらは急性期の外傷として認められているものに限られます。

重要なのは、慢性的な長期間続く腰痛や肩こりの施術には保険適用は認められないという点です。
日常生活から生じる疲労や慢性的な症状は、保険診療の対象外となります。

受領委任払い制度

柔道整復師の施術は、一定の条件下で『受領委任払い』制度を利用することで、患者が一部負担金のみで施術を受けられるようになります。
この制度により、患者様は窓口で3割負担(または1割負担)の支払いで済むようになります。

ただし、この制度を利用するには:

  • 柔道整復師が地方局長や都道府県知事と協定を結ぶ必要がある
  • 患者様が必要書類に署名する必要がある
  • 適用される症状が限定されている

整体院における施術の特徴

保険診療との違い

保険診療では国が定めたルールがあり保険でできる施術に制限があります。それ以上の施術をおこなう事ができません。一方で、自費診療では保険外の症状に対しても施術を受けることができるので、症状を緩和するだけでなく体のメンテナンスを行うことで症状を再発しないように予防もできます。

全体的なアプローチの重要性

原因が患部にあるだけとは限らないので、患者様の体を全体でみてその方に必要なアプローチをすることが可能です。これは自費診療ならではの大きなメリットです。

例えば、腰痛の原因が実は姿勢の歪みや股関節の硬さにある場合、保険診療では腰部のみの施術となりますが、自費診療では全身のバランスを見ながら根本的な改善を目指すことができます。

料金相場について

保険診療の場合

接骨院や整骨院で保険適用になった場合の料金について、健康保険を使って治療を受けられるということで、当然費用は安く済みます。一般的に、保険適用の場合:

  • 初診料:1,000円~1,500円程度(3割負担の場合)
  • 2回目以降:300円~800円程度(3割負担の場合)

自費診療の場合

自費診療の料金は各院によって大きく異なりますが、一般的な相場は:

  • 初回:5,000円~10,000円
  • 2回目以降:4,000円~8,000円

都心部では料金が高めに設定されている傾向があり、技術力や経験、設備、立地などによって価格差が生じています。

整体とリハビリテーションの違い

理学療法士によるリハビリ

理学療法士は、主に病気やケガによって身体機能が低下した患者に対して、リハビリを行うことです。理学療法士が活躍する場は、病院やクリニック、介護施設など多岐にわたります。

リハビリテーションの特徴:

  • 医師の処方・指示が必要
  • 保険適用される
  • 医学的根拠に基づいた施術
  • 機能回復が主目的

整体師による施術

整体師の施術は、疲労の緩和やリラクゼーションが目的です。理学療法との大きな違いとして、整体は医療行為ではないことが挙げられます。

整体の特徴:

  • 医師の指示は不要
  • 自費診療が基本
  • 予防的なケアが可能
  • 全身のバランス調整が得意

日本における手技療法の歴史と発展

日本には古くから様々な手技療法が発展してきました。手技療法(しゅぎりょうほう)は、古代より行われてきた手で行う療法。薬やサプリメント、器械や道具、鍼、灸などを一切使わずに素手だけで行うものです。

整体院を選ぶ際の注意点

資格と技術の確認

整体院を選ぶ際は、以下の点を確認することをお勧めします:

  1. 施術者の資格・経歴
    • 国家資格の有無
    • 研修歴・経験年数
    • 専門分野
  2. 施術内容の説明
    • 施術方法の明確な説明
    • リスクの説明
    • 期待できる効果の説明
  3. 料金体系の透明性
    • 初回料金と継続料金
    • 追加料金の有無
    • 回数券や会員制度の内容

保険適用を謳う整体院について

柔道整復師が整体院を開業している場合、かつ柔道整復師が施術する場合に限って、整体院の施術であっても保険適用を認められる場合があります。ただし、これは稀なケースであり、適用条件は通常の接骨院と同じです。


押小路治療室の独自アプローチ

当院の施術理念

押小路治療室では、「体の静けさを取り戻す」というコンセプトのもと、独自の施術を提供しています。
当院の施術は、一般的な整体や接骨院とは異なる、いくつかの特徴があります。

15分の短時間施術 多くの方が「15分で本当に効果があるの?」と疑問に思われますが、当院では「効率的に、短時間で」という方針を掲げています。長時間の施術が必ずしも効果的とは限りません。体が本来持つ回復力を引き出すには、適切な刺激を与えることが重要であり、それは必ずしも時間に比例しないのです。

重力との調和 当院では、「重力との調和」を重視しています。人間の体は常に重力の影響を受けており、その重力とうまく付き合うことで、自然な姿勢と動きを取り戻すことができます。

自費診療を選んだ理由

当院があえて保険診療を行わず、自費診療のみとしている理由は明確です:

  1. 制限のない施術 保険診療では施術部位や時間、方法に制限がありますが、自費診療では患者様一人ひとりの状態に合わせた最適な施術が可能です。
  2. 予防的アプローチ 症状が出てからではなく、出る前のメンテナンスこそが重要と考えています。これは保険診療では対応できない領域です。
  3. 質の高い施術環境 青山一丁目という立地で、静かな個室空間を提供し、落ち着いて施術を受けていただける環境を整えています。

料金設定の考え方

当院の基本料金は6,600円(税込)となっています。この料金設定には以下のような考えがあります:

  • 20年以上、5万件を超える施術経験に基づく技術
  • 一人ひとりに向き合う丁寧なカウンセリング
  • 青山一丁目駅徒歩2分という利便性の高い立地
  • 清潔で落ち着いた施術環境

決して安価ではありませんが、「時間や費用ではなく、得られる結果に価値を置く方」にご満足いただける施術を提供しています。

よくあるご質問(Q&A)

なぜ15分という短時間なのですか?

体への負担を最小限に抑えながら、最大の効果を引き出すためです。長時間の強い刺激は、かえって体に負担をかけることがあります。適切な刺激を短時間で行うことで、体の自然な回復力を効率的に引き出すことができます。

保険が使えないのはなぜですか?

当院の施術は、急性の外傷治療ではなく、体全体のバランスを整え、自然治癒力を高めることを目的としているためです。これは保険適用の対象外となりますが、その分、制限なく最適な施術を提供できます。

他の整体院との違いは何ですか?

最大の違いは「重力との調和」という独自の考え方と、ソフトな施術方法です。強い力で矯正するのではなく、体に優しく働きかけることで、無理なく自然な状態へと導きます。

専門家としての見解

保険診療と自費診療、どちらを選ぶべきか

20年以上この業界に携わってきた経験から申し上げると、保険診療と自費診療にはそれぞれ適した場面があります。

保険診療が適している場合:

  • 明確な外傷(捻挫、打撲など)がある
  • 急性期の痛みで早急な対応が必要
  • 経済的な制約が大きい

自費診療が適している場合:

  • 慢性的な症状に悩んでいる
  • 根本的な体質改善を望んでいる
  • 予防的なメンテナンスをしたい
  • 全身のバランスを整えたい

整体業界の未来

整体業界は今、大きな転換期を迎えています。単なる「揉みほぐし」や「リラクゼーション」から、より専門的で科学的な根拠に基づいた施術へと進化しています。

AIやデジタル技術の発展により、姿勢分析や動作解析がより精密になり、施術の効果を客観的に評価できるようになってきました。しかし、最終的に大切なのは、施術者の手の感覚と、患者様一人ひとりと向き合う姿勢です。

最後に

体の不調は、単に痛い部分だけの問題ではありません。全身のバランス、日常の姿勢、ストレス、生活習慣など、様々な要因が複雑に絡み合っています。

保険診療には保険診療の良さがあり、自費診療には自費診療の良さがあります。大切なのは、ご自身の症状や目的に合わせて、適切な選択をすることです。

押小路治療室では、「紹介で自然に人が集まる整体院」を目指し、一人ひとりの患者様に真摯に向き合い続けています。派手な宣伝や過度な通院勧誘は行わず、本当に必要な施術を、必要な分だけ提供することを心がけています。

参考

治療室情報
所在地:107-0062 東京都港区南青山2丁目2-15 ウィン青山726
TEL:03-5843-0071
アクセス:大江戸線/半蔵門線/銀座線・青山一丁目駅徒歩2分
営業時間:月~金 11:00~20:00 土日祝 9:00~19:00
休業日:火または水 不定休
届け出:港区みなと保健所届け出済み施術所
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