東京都港区 R.R様 40代女性 ダンスインストラクター《右ハムストリングス、股関節・膝周辺の不調》
職業:バレエ・ジャズダンス指導、大学講師、ボディワーク指導。
主訴:右ハムストリングスのつっぱり感。
背景:舞台やワークショップ、ヒールでの踊り、ピラティス受講など負荷が変動。左ハムスト〜足首の坐骨神経様痛、左右股関節の痛み・可動域の波、右足甲の違和感、左ベーカー嚢腫(膝裏)があった時期も。医療機関では「股関節軟骨が少ない」「ヒアルロン酸注入」の示唆があった旨の記載がありました。
ご来院の経緯と要点
- 舞台後に左股関節痛。のちに右股関節痛もあり、可動域の滞り。遠征・本番が続く。右大腿四頭筋や右脚の甲の訴え、股関節で音が鳴る感覚の時期あり。
- 股関節の再生術の予定。
- 左ベーカー嚢腫。
- 以降:舞台・指導・海外渡航など活動は継続。現在も右ハムストの張りが主訴として現れやすいようです。
観察
- 立位:微細な骨盤回旋と胸郭の可動性低下。重心の偏り、体のアライメントが崩れる。
- ダンス特有の課題:股関節の可動域の不足による膝やハムストへの負担。
- 膝裏:ベーカー嚢腫は膝関節に炎症があるとき生じやすい嚢胞で、膝後面の張り・曲げづらさを伴うことがある。
- ハムストの張力:ダンサーは股関節障害の多い場合がある。
当院の見立て
核にあるのは外見からはわからない内側の歪みと重力との不調和。
- 胸郭—骨盤—股関節—膝—足部の連動性が途切れる。つっぱり感や坐骨神経様の広がりが出やすい。
- 舞台前後は練習量・移動・床環境・履物(ヒール)などの条件変化で体の巡り(循環と呼吸)が乱れやすく、戻り幅が大きくなる。
- 股関節の軟骨変性や変形性膝関節炎があっても、荷重線の最適化=重心の偏りの縮小で膝外側やハムへの二次負担は軽くできる余地がある。
当院の施術方針
- 全身調整:足部の詰まりを解放→回旋の余白をつくり、股関節の動きを改善。胸郭の呼吸の伸びを回復→肩帯—体幹—骨盤の連動を改善。
- 穏やかな施術:手の温かみが伝わる短時間・無理なく・無害の介入で体の巡りを整え、自ら治る力(自然治癒力)を賦活。
- 局所ではなく全身:ハムストそのものを強く刺激するのではなく、負担の原因(重心と連動の乱れ)を改善。
経過
- 舞台や渡航が多い時期に股関節—大腿の痛みがでる。ワーク直後の「回転が楽」「可動域が広がる」実感が得られた記録もあり、連動性が回復すると一時的に“通り道”が開くことが示唆される。
- ベーカー嚢腫は膝内の炎症・関節液増加に関連しやすく、膝のアライメントの調整が大事になります。
- 右ハムの「張り」を主訴に、本番スケジュールに合わせたメンテナンスで戻り幅の縮小を図っていきます。
よくある質問(Q&A)
Q1. ハムの“つっぱり”はストレッチだけで良くなりますか?
A. ストレッチ単独では戻りやすいことが多いです。足部—骨盤—胸郭の連動回復と荷重線の見直し、段階的な筋発揮を組み合わせると、舞台復帰後の再発予防につながります。
Q2. ベーカー嚢腫は危険?踊っていい?
A. 多くは膝の中の炎症に伴う二次現象で、原因(膝の状態)への対応が改善の近道です。急な腫れ・赤み・熱感、ふくらはぎの強い痛みがあればまず医師の診断を仰ぐことがすすめられます。

